しかしながら、変更できているように見えて、実は別のアドレス(メモリ領域)に書き込み、新たなアドレスに書き込まれた変更された文字列を取り扱う仕組みとなっている。
このNSStringインスタンスに、次々と文字列の変更書き込みを行っていると、以前に書き込んだメモリ領域が残ったままで、メモリリークの要因となってしまう。
従って、NSStringインスタンスは絶対変更しない文字列のみ格納するようにし、変更する文字列はNSMutableStringに格納することを厳守すべきである。NSStringインスタンスに設定する値が同一値であっても、そのNSstringインスタンスに文字列を設定する箇所は1箇所のみにすべきである。
また、文字列を初期化する場合、stringWithFormatまたは、stringWithStringで初期化をしてしまうと、簡易コンストラクタという扱いとなり、このインスタンスを破棄(release)するのは、NSStringクラスオブジェクトそのものの責任となり、自分が作ったクラスから破棄することができない。(逆に言うと放っておいても自動的に破棄される)
これを回避し、自分で破棄できるようにするためには、initWithFormatまたは、initWithStringを使用する。このinit〜メッセージを送ることにより、自分で破棄できるようになる。iPhoneのようなメモリに制限のあるデバイスの場合、メモリ解放は自分で明示的に行ったほうがよい場合が多いので、init〜で初期化することを推奨する。
NSString *hoge = [[NSString alloc] initWithString:@"fuga"];
また、文字列の結合については、NSStringとNSMutableStringではメソッドが異なるので注意。
NSStringの場合、
hoge = [fuga stringByAppendingString hage];
NSMutableStringの場合、
[hoge appendString hage];
NSMutableStringインスタンスに、stringByAppendingStringで文字列結合を行うと、ビルド時に警告メッセージが表示されて、とりあえず動作する(文字列結合も行われる)が、意図しないメモリリークが起こる可能性もあるので、正しくappendStringメソッドで文字列結合を行うこと。
NSMutableStringインスタンスに文字列を格納する場合、
hoge = @"fuga";と記述してしまうと、実体はNSStringとして取り扱われるので、
hoge = [NSMutableString alloc] initWithString:fuga];とNSMutableStringで初期化して文字列を格納することを明示すること。
参考書籍:
iOSデバッグ&最適化技法 for iPad/iPhone
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